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「超」入門 失敗の本質から今後の働き方を考える

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こんにちは。ぎゅうです。

今回紹介する本は鈴木博毅さんが書いた「超」入門 失敗の本質についての感想です。

「超」入門 失敗の本質には元に「失敗の本質」という本があり、内容は大東亜戦争時の日本軍の組織論を分析した本でして、その「失敗の本質」をどのようにビジネスに置き換えて考えるかを解説した本です。

本著は名著『失敗の本質』から、私がビジネス戦略・組織論のコンサルタントとしてどのようなことを学び、仕事の現場で活かしてきたかを解説しながら、皆さんとともに学んでいく書籍です。

「超」入門 失敗の本質 鈴木博毅著

本書の序章で鈴木さんが書かれているようにこちらの本はビジネス書です。

知っての通り、大東亜戦争で日本は敗戦国となってしまうのですが、その際の戦争における日本軍とアメリカ軍の戦略における違いを経営学の考えから分析をしたところ、現代の日本企業や日本社会の状況と似ていることがわかったことから比較し解説した本です。

失敗から学ぶとはよく言いますが、本書の中には少なからず自分たちの身の回りであったり、過去に僕自身も同じことをしていたと思うこともありました。

そう言った意味ではビジネス書として本当に勉強になる1冊です。

それでは参りましょう。

目次

本書の基本情報

本書は1984年に発刊された『失敗の本質』を経営学的知見で分析し解説した本です。

私は読んだことがないのですが本家『失敗の本質』は非常に読みにくい、わかりづらいと聞いたことがあります。

ですが、本書は読みやすかったと思います。

ちなみに基本情報はこちらです。

タイトル:「超」入門 失敗の本質
著者  :鈴木博毅
ページ数:248ページ
出版社 :ダイヤモンド社
発売日 :2012年4月5日
価格  :1,188円(Kindle版)

なぜ戦略が曖昧なのか

いかに優れた戦術があっても戦略が曖昧だと効果を成さない

失敗の本質を読んで最初に感じる点は日本軍の戦略が曖昧だったということだそうです。

実際にそうだったかは当時の人に聞いてみないとわかりませんが、史実を振り返ってみると戦略が曖昧だったことにより、何を目標にしていたかがわからずに無意味な勝利を積み重ねた結果、悪い方向へ進んだと書かれてます。

戦略が明確であればチーム全体が目指すべき方向が明確になるので、目標達成に向けて邁進することができます。

逆に曖昧だとチーム全体が目指すべき方向がどこかそれぞれの感覚で動くので混乱と敗北を生み出します。

そしてその例として日本軍の目標達成につながらない勝利を積み重ねていたことが挙げられてます。

本書ではミッドウェー作戦での話が書かれてます。

日本は真珠湾海戦当初からアメリカ軍への勝利を積み重ねていき、太平洋の派遣をかけて日米が激突したミッドウェー作戦では日本の連合艦隊が戦力的に優勢だったようです。

ただ実際の戦闘では、アメリカ軍に暗号を解読されてしまい、日本軍は空母を先に撃沈されて惨敗します。

ただ日本もミッドウェー島での空爆には成功するのですが、アメリカ軍は事前にレーダー監視などで航空機は全て退避したため、戦果は乏しかったのです。

さらにレイテ海戦では南洋諸島25の島を駐留していた日本に対してアメリカ軍が攻めたのはわずか8つの島です。

残りの17つの島は勝つためには必要のない島だったということです。

要は日本軍にとってはミッドウェー作戦では戦力数を優勢にして、島の爆撃にも成功しますが戦果はほとんどなく目標達成するための勝利とは言えなかったのです。

対してアメリカ軍は目標達成につながる勝利だけを追ったことで戦局を逆転させたのです。

本書でも書かれてますが、大局を見誤らないように目標達成につながる勝利とつながらない勝利を見極め、目標達成につながる勝利を選んでいくことが重要なのです。

ちなみに戦略と戦術という言葉がありますが、目標や目的を達成する為の方向性に対し戦術は戦略を達成する為に実現する具体的方法です。

実際に戦闘機の技術、軍人の技術どちらも日本軍の方が優れていたにも関わらず、負けたということが戦術だけでは勝てない、戦略がしっかりしてないといけないことを如実に表してます。

本書では戦略とは目的、目標を達成する為の指標と定義されてます。

この指標をきちんと決めることで戦略を誤らずに、今の現在地がどうかを確認して次の一手が打てます。

インテルは「指標」を変えたことでシェアを伸ばした

ここで日本企業とインテルのマイクロプロセッサ(以下MPU)のシェア争いについての事例を紹介します。

インテルといえば「インテル入ってる」でお馴染みの大手企業です。

現在でもパソコン向けMPUでは世界8割のシェアがあると言われてます。

ただ、このインテルも1980年代は日本の販売攻勢に大苦戦したことで一時メモリ事業から撤退してます。

ただ、その後インテルは追いかける指標(戦略)を「活用しやすさ」にしてMPUと組み合わせることでパソコンの基幹部分になるマザーボードを開発しました。

一方、日本は性能を上げることを追いかける指標にしており、とはいえ性能を上げ続けることには限界があります。

その間にインテルは活用のしやすさと安価で提供できることでMPUのシェアを一気に伸ばし、大逆転するのです。

これこそ日本軍とアメリカ軍の追いかける指標が違ったことにより勝敗が決したことと全く同じ状況になったのです。

なぜ日本的思考は変化に対応できないのか

ゲームチェンジこそ勝者への近道

ゲームチェンジ=ゲームのルールを変えることです。

失敗の本質では、日本軍は超人的な猛訓練と練磨で養成された技能でした。

海軍にしても、白兵戦にしても、飛行技術にしても気合いで猛訓練を重ねてました。

今もそうですが、日本は職人を育てる技術は優れていると思います。

ただ、アメリカ軍はそういった戦闘技術に長けた日本軍に勝つためにとった作戦は達人を不要とするシステムを選択しました。

操縦技能が低くても生き残れる戦闘機の開発、命中制度を高めなくても撃墜できる砲弾の開発、夜間視力が高くなくても敵を捉えられるレーダーの開発などです。

そして戦い方にしても零戦1機に対して複数の飛行機で戦うことでチームワークで勝負します。

要は日本が得意な戦い方で戦うことを止めて、アメリカ軍が勝てる戦い方をしたのです。

これこそゲームのルールを変えたことです。

これにより日本の敗戦が増え、戦力が減り最終的な戦争終結に進みます。

問題解決に必要なダブルループ学習

日本は改善と型を磨くことに長けている国です。

それは職人を多く生み出す、モノづくり企業も専門性が高いことから窺うことができます。

ただその日本が得意なのがシングルループ学習だと言われてます。

シングルループ学習とは一つの視点からしか物事の仮説を立てない学習スタイルです。

例えば接客販売という例で言うと「どのように接客をさらに充実させるか」が売上を向上させる唯一の対策と考えて、改善手法を検討する方法がシングルループ学習。

それとは違う学習方法でダブルループ学習というのがあります。

これは一つの視点からしか物事の仮説を立てるのでなく、別の視点からも疑問や検討をする学習スタイルです。

接客販売では、接客以外にも売上減少や売上改善の要因があるのではないかという、目標や問題の基本構造を再定義する方法のことです。

上からの指示だけでなく現場での声を集めて、報告をもらい、顧客の視点から再検討するなどの方法で、これがないと現場と上層部では考えが食い違ってしまい、結果的に戦略や指標から逸脱した行動を現場がして失敗をする。

逆に本来追いかけるべき指標を上層部が見誤り失敗してしまうこととなります。

アメリカはダブルループ学習が得意ですが、日本はシングルループ学習が得意でここが戦争はもちろん、今の日本企業が失敗してしまう原因となってると言われてます。

イノベーションを起こす3ステップ

イノベーションを起こすには3ステップが必要と言われてます。

それがこちらです。

イノベーションを起こす3ステップ
  1. 既存の指標を発見する
  2. 相手の指標を無効化する
  3. 過去の指標を凌駕する新たな指標で戦う

これを使ってゲームチェンジを起こしたので有名なのがスティーブ・ジョブズです。

Appleを創業したスティーズ・ジョブズは当時のPC市場やMP3プレーヤー、スマートホフォン場に革命を起こします。

というのもどれも既存の指標でまずは戦うのですが、最初は必ず負けてます。

ただそこから使いやすさやシンプル、デザイン性に拘ることでシェアを徐々に伸ばしたことで、PCの市場ではマイクロソフトのWindowsが主流だったところにmacOS、MP3プレーヤーだと日本ではソニーのウォークマンが主流だったところにiPod、スマートフォンに至ってはまだ普及する前からiPhoneを出して優先的に市場を支配します。

当初は違うプラットフォームに参入することから始めましたが、やがて自らのプラットフォームを作ったことで今のシェアや地位を確立しました。

終わりに

他にも失敗の本質では日本軍を例に挙げて今の日本企業が苦しんでいる原因を書かれてます。

ここに書かれている内容は本当に的を得ていると感じます。

その中でも僕が勉強になったことを今回は挙げました。

とくに無意味な勝利を積み重ねるのは満足感だけを生み出し、本質的な目標や目的を見誤ってしまいます。

目的を見失わないためにも、どこがゴール地点かを明確にする。

そしてその為にダブルループ学習を積み重ねてPDCAを回すことが大事だと学びました。

そんな感じでいきましょう。

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